東京にお住いの方で不動産の評価額が高すぎて相続税が払えない場合の対応策
2024/12/02
不動産の評価額が高すぎて相続税が払えない場合の対応策
東京を中心とした都市部では、不動産の評価額が非常に高くなることが一般的です。
そのため、相続財産の大部分を不動産が占めるケースが多く、相続税の納税資金を現金で用意できないという問題が発生しやすい状況です。
本記事では、不動産の相続税の算定方法をわかりやすく解説し、納税資金を確保するための具体的な対策を紹介します。
1. 不動産の相続税の算定方法を理解する
相続税は、被相続人が残した財産の総額を基に計算されます。不動産が財産に含まれる場合、その評価額を算出する必要があります。
不動産の評価額を正確に把握することで、適切な相続税対策を講じることができます。以下に、土地と建物の評価方法を解説します。
(1) 土地の評価方法
土地の評価額は、原則として「路線価方式」または「倍率方式」で算出されます。
- 路線価方式
路線価とは、国税庁が毎年発表する道路ごとの標準的な土地の価格のことです。この路線価に、土地の面積や形状、用途などを考慮して評価額を計算します。- 計算式:路線価 × 面積(㎡)
- 例えば、路線価が40万円/㎡で、土地面積が100㎡の場合、評価額は4,000万円となります。
- 倍率方式
路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に国税庁が定める「倍率」を掛けて評価額を算出します。- 計算式:固定資産税評価額 × 倍率
(2) 建物の評価方法
建物の評価額は、固定資産税評価額をそのまま使用します。この額は、市町村から送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。
- 例えば、建物の固定資産税評価額が1,500万円の場合、相続税評価額も1,500万円となります。
2. 相続税が払えない場合の具体的な対応策
不動産の評価額が高すぎて相続税を現金で支払えない場合、次のような対応策が考えられます。
(1) 物納の活用
相続税は、現金での納付が原則ですが、どうしても納税資金を用意できない場合、国に財産(不動産など)を納める「物納」が認められる場合があります。
- 注意点
- 物納が可能な財産には制限があります。不動産の場合、管理や売却が容易であることが条件となります。
- 手続きが複雑なため、専門家の支援が必要です。
(2) 延納制度の利用
延納とは、相続税を分割して納付する制度です。一定の条件を満たせば、5年から最長20年まで分割払いが可能です。
- 条件
- 納付すべき相続税額が10万円を超える場合。
- 担保となる財産を提供できる場合(不動産など)。
- 利点
現金が手元になくても、不動産を担保にすることで納税が可能になります。
(3) 不動産の売却または活用
不動産を売却して現金化する「換価分割」や、賃貸物件として活用し収益を得る方法も有効です。
- 換価分割
遺産分割協議の一環として、不動産を売却し、その代金を相続人間で分割します。これにより、納税資金を確保しつつ公平な分配が可能です。 - 賃貸活用
物件を賃貸に出すことで、安定した収益を得られます。その収益を相続税の納付に充てることができます。
(4) 生命保険を活用
被相続人が生前に生命保険に加入しておくことで、相続発生時に受け取る保険金を納税資金に充てることができます。
- 生命保険の非課税枠
法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が適用されます。これにより、相続税負担を軽減しつつ、納税資金を確保できます。
3. 相続税対策を計画的に行う重要性
相続税の負担を軽減し、家族間のトラブルを避けるためには、事前の計画が不可欠です。具体的には、次のような対策が効果的です:
(1) 生前贈与の活用
暦年課税制度を活用し、毎年基礎控除(110万円)内で財産を贈与することで、相続時の財産総額を減らすことができます。
(2) 小規模宅地等の特例
被相続人が住んでいた土地や事業用の土地については、一定条件を満たすことで評価額を最大80%減額できます。
(3) 専門家の相談を受ける
相続税対策は、個々の財産や家族構成によって最適な方法が異なります。税理士、不動産鑑定士、弁護士などの専門家に相談することで、最適なプランを立てることができます。
4. まとめ:早めの相続対策で家族と財産を守る
東京のような不動産評価額が高い地域では、相続税の負担が大きくなりがちです。しかし、不動産の評価方法を理解し、適切な対策を講じることで、負担を軽減し、スムーズな相続を実現できます。
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